地図は「見るもの」から「考える道具」へ

GISで“考える”とは何か?

「地図」と聞くと、多くの人は場所を確認するためのツールを思い浮かべるでしょう。
しかしGIS(地理情報システム)は、単に地図を“見る”ためのものではありません。

GISは、地図を使って考えるための道具です。

この記事では、

  • GISで「考える」とは何をしているのか
  • なぜ“表”では見えないものが“地図”では見えるのか
  • GoogleマップとGISの違いとは何か

を、動画とは少し違う角度から整理していきます。

目次

GISとは何か?地図ソフトではない理由

「GIS=高機能な地図ソフト」と思われがちですが、それは正確ではありません。

GISの本質は、

位置情報を持ったデータを扱う情報システム

です。

ポイントは「地図」ではなく、データと位置の結びつきにあります。

例えば、

  • 人口データ
  • 災害履歴
  • 店舗売上
  • インフラ設備情報

これらが“どこで起きているか”を持った瞬間、GISの世界に入ります。

つまりGISは、「場所を表示する道具」ではなく、
場所を手がかりにデータを分析する仕組みなのです。

GISで「考える」とは何をしているのか?

では、GISで“考える”とは何でしょうか。

それは主に、次のような行為です。

1. 重ねる(オーバーレイ)

複数のデータを空間上で重ね、条件を満たす場所を見つける。

例:

  • 人口が多い
  • 競合が少ない
  • 駅から近い

これらを同時に満たす場所はどこか?

これは単なる閲覧ではなく、空間的な条件抽出です。

2. 絞る(フィルタリング)

特定条件に合うデータだけを抽出する。

例:

  • 築20年以上の建物
  • ハザード区域内の施設

「どこを見るべきか」を明確にする作業です。

3. 関係を見る(空間的関連性)

距離や包含関係を使って判断する。

例:

  • 学校から500m圏内
  • 河川に隣接する土地

ここでは「近い」「含まれる」といった曖昧な概念を、数値として扱います。

つまりGISで“考える”とは、

空間を軸にデータの関係性を整理すること

なのです。

なぜデータは表では見えず、地図にすると見えるのか?

同じデータでも、「表」と「地図」では見え方が変わります。

例えば人口データ。

市区町村人口
A市52,341
B市18,220
C市74,102

この表だけでは、
どこに集中しているのかは直感的に分かりません。

しかし地図上に色分けすると、

  • 都市部に集中している
  • 沿岸部が多い
  • 内陸は少ない

といった空間パターンが一目で分かります。

これは、人間の脳が「空間的な配置」を非常に得意としているためです。

GISはこの特性を利用して、
データの構造を視覚化する装置とも言えます。

GoogleマップとGISの違いは何か?

よくある質問がこれです。

「Googleマップも地図ですよね?何が違うんですか?」

答えはシンプルです。

GoogleマップGIS
場所を探す条件に合う場所を見つける
経路を調べる分析する
情報を閲覧するデータを加工・抽出する

Googleマップは優れた情報閲覧ツールです。

一方GISは、

自分で問いを立て、答えを導くための道具

です。

どちらが優れているという話ではありません。
役割が違うだけで、どちらも重要です。

なぜ今、GIS的思考が重要なのか

データは増え続けています。

人口統計、気候データ、インフラ情報、商業データ…。
しかしデータが増えただけでは、意思決定はできません。

重要なのは、

  • どのデータを
  • どの条件で
  • どの空間範囲で見るか

という「問いの立て方」です。

GISは、この問いを具体化するための仕組みです。

まとめ:地図は「答え」ではなく「思考のインターフェース」

GISは地図を作るためのツールではありません。

それは、

空間を通して考えるためのインターフェース

です。

地図は完成形ではなく、
思考の途中経過を可視化するキャンバス。

「見る」から「考える」へ。

その転換こそが、GISの本質です。

動画解説

この記事の内容は、動画でも解説しています。
図解や具体例を交えて、より直感的に理解できる構成になっています。

▶ 本編動画はこちら

「考える地図」を体系的に学びたい方は、
GIS基礎シリーズの再生リストもご活用ください。

▶ 再生リストはこちら

この記事が参考になりましたら、ぜひ共有ください。
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次