GISで数える・まとめる方法
「GIS分析」と聞くと、なんだかとても難しそうなイメージがありませんか?
でも実は、分析の仕上げに行うことはとてもシンプルです。
それは、「数える・まとめる」という作業にすぎません。
これまでのGIS入門では、
- 条件で絞る
- 距離や範囲で判断する
というステップを見てきました。
しかし――
きれいに色分けされた地図を上司やクライアントに見せたとき、
「で、ここには何人住んでいるの?」
「競合店は何件あるの?」
と聞かれて、言葉に詰まったことはありませんか?
最終的に人を動かすのは、きれいな地図ではなく
「根拠のある数字」です。
この記事では、GIS分析の第3ステップである
「数字にする技術=空間集計」について、
- 基本の考え方
- よくある誤解
- 実務での落とし穴
を分かりやすく解説します。

空間集計とは何か?
「集計」と聞くと、Excelで売上をまとめる作業(SUMやCOUNT)を思い浮かべる方が多いでしょう。
GISの空間集計も、本質は同じです。
ただし、決定的に違う点が1つあります。
👉 「どこで区切るか」が地図で決まること
Excelが「A支店」「B支店」といった“名前”でまとめるのに対し、
GISは「このエリア」「この範囲」といった場所でまとめます。
例えば
- 市区町村ごとの人口
- 徒歩10分圏内の店舗数
- 商圏ごとの売上
つまりGISは、
👉 「空間でGROUP BYできるExcel」
と考えると一気に理解しやすくなります。
空間集計の本質は、計算の難しさではなく
「どこで数えるか」にあるのです。

COUNTとSUMの違いとは?
GISで最も混同されやすいのがこの2つです。
- COUNT(カウント):数を数える
- SUM(サム):値を合計する
イメージするとこうです
- COUNT → 箱の数を数える
- SUM → 箱の中身を合計する

具体例
- コンビニが15件 → COUNT
- 世帯数が1200 → SUM
※注意:COUNTとSUMを混同すると分析を間違える
例えば、
- タワーマンション:1棟(COUNTは小さい)
- 平屋住宅:10棟(COUNTは大きい)
しかし実際の人口は、
👉 タワーマンションの方が圧倒的に多い
GISは形ではなく「意味」を扱うツールです。
👉 何を数えているのか?
これを意識するだけで、分析の精度は大きく変わります。

平均(AVG)はなぜ危険なのか?
集計といえば平均(AVG)もよく使われます。
しかし――
👉 平均は分かりやすいが、非常に危険です
例
年齢が:
- 20歳、21歳、22歳、23歳、80歳
このとき平均は「33歳」です。
では、このエリアを
👉「30代中心の街」と言って良いでしょうか?
答えはNOです。
なぜ危険なのか
- 外れ値に大きく影響される
- 分布を無視してしまう
- 実態を歪める
※注意:「平均=正しい」ではない
平均を見るときは、
- 極端な値はないか?
- 分布はどうなっているか?
- 中央値の方が適切ではないか?
と疑う視点が重要です。

なぜ集計単位で結果が変わるのか?
空間集計で最も重要なポイントがここです。
同じデータでも、
- 区単位で集計 → 大雑把な傾向
- メッシュで集計 → 細かい分布
が見えてきます。
つまり
👉 分け方を変えると、見える世界が変わる
例えば、
- 区単位 → 「世田谷区は人口が多い」
- メッシュ → 「駅前だけが密集している」
このように、
👉 区切り方によって“結論そのもの”が変わる
という問題があります。
これを専門用語で:
👉 MAUP(可変面積集計単位問題)
と呼びます。
もっとシンプルに言うと
👉 「どう分けるかで答えが変わる問題」
※注意:分析結果は絶対ではない
GISは自由に区切れる強力なツールですが、
👉 その分、分析者の責任も大きい
ということです。

GIS集計で失敗しないための3つのポイント
空間集計で失敗しないために、次の3つを意識しましょう。
① 何を数えているのかを明確にする
- COUNTなのか
- SUMなのか
👉 対象を曖昧にしない
② 集計単位を意識する
- 市区町村
- メッシュ
- 商圏
👉 目的に合った“入れ物”を選ぶ
③ 平均を鵜呑みにしない
- 外れ値はないか?
- 分布はどうか?
👉 数字の裏を疑う

まとめ
GISの空間集計は、決して難しいものではありません。
本質はシンプルです。
👉 「どこで数えるか」
GIS分析は、
- 条件で絞る
- 範囲で判断する
- 数字にする(集計)
という流れで進みます。
そしてこのステップによって、
👉 「なんとなく良さそうな場所」は
👉 「数字で説明できる場所」に変わります
実務では、このあとさらにこう言われます。
「この条件に当てはまるエリアを、地図の形として切り出したい」
次回は、分析の総仕上げ。
地図を「切る・重ねる・合体する」技術、
空間演算の世界へ進んでいきます。

関連動画
この記事の内容は、YouTube動画でも解説しています。
本編
空間集計とは?GISで数える・まとめる方法
補足1
COUNTとSUMの違いとは?GIS集計の基本
補足2
平均(AVG)は危険?GIS集計の落とし穴
補足3
なぜ集計単位で結果が変わるのか?
