GISは「地図」と「表」でできている
私たちが普段スマートフォンやパソコンで見ている地図。
目的地へのルートを調べたり、周辺のお店を探したりする際、多くの人は地図を「便利な一枚の絵」として捉えているのではないでしょうか。

しかし、GIS(地理情報システム)の世界では、地図の捉え方が全く異なります。
GISにおける地図は、ただの図形ではなく「データ」と深く結びついた存在なのです。

そして、その地図とデータを結びつける中心的な役割を担っているのが「属性テーブル」という仕組みです。
この記事では、GISを理解する上で非常に重要な「属性テーブルの正体」を分かりやすく解説します。
この記事はシリーズ記事です
この記事は、YouTubeチャンネル MachiCraft|GISで読み解く「考える地図」入門 シリーズの解説記事です。
GISの基本的な考え方を、初心者向けに順番に解説しています。
属性テーブルとは何か?地図の裏に隠れた「表」
GISソフトで地図を開くと、画面上には
- 道路
- 建物
- お店
- 駅
などが表示されています。
しかし、GISの地図はそれだけではありません。
実は、地図の裏側にはExcelのような「表」が存在しています。
この表のことを、専門用語で属性テーブル(Attribute Table)と呼びます。

例えば、地図上に5軒のカフェがあるとします。
すると、属性テーブルには必ず5行のデータが存在します。
そして列には次のような情報が入ります。
- 店名
- 住所
- 電話番号
- 営業時間
- 座席数
つまり属性テーブルとは地図上の点や線の「プロフィール帳」のようなものです。
地図上ではただの点に見えてもその裏側には多くの情報が紐づいています。
GISは
- 位置(どこにあるか)
- 情報(何であるか)
この2つを組み合わせて扱うシステムなのです。

なぜ「1行=1つのモノ」なのか?
属性テーブルを見ると、多くの人がこう思います。
「これってExcelと同じでは?」
確かに見た目は似ています。
しかし、決定的な違いがあります。
それは1行が地図上の1つのモノと対応しているという点です。

例えば
| ID | 店名 |
|---|---|
| 1 | カフェA |
| 2 | カフェB |
GISでは
- カフェAの行
- カフェAの地図上の点
が完全にリンクしています。
もし属性テーブルからカフェAの行を削除するとどうなるでしょう?
実は地図上のカフェAの点も消えます。
逆に
- 地図から削除
→ 表からも削除
されます。
つまりGISでは行=地物(Feature)という関係になっています。
このためGISは空間データベースと呼ばれることがあります。
IDがなかったらGISはどうなる?
では、地図と表はどうやって結びついているのでしょうか?
その役割を担うのがID(識別子)です。
GISでは、すべての地物に
- 1
- 2
- 3
のような番号が振られています。
そして属性テーブルにも同じ番号があります。
例えば
| ID | 店名 |
|---|---|
| 1 | カフェA |
| 2 | カフェB |
このIDによって
- 地図の点
- 表の行
が結びつきます。
もしこのIDが無かったらどうなるでしょう?
地図の点をクリックしても
「どのデータを表示すればいいのか」
コンピュータが分からなくなります。
私たちが地図をクリックした瞬間に
- 店名
- 住所
- 電話番号
などが表示されるのは、コンピュータが裏側でIDを照合しているからなのです。

表を変えると地図が変わる理由
地図と表がつながっているということは、表を操作すると地図も変わるということです。
例えば、座席数50以上という条件でフィルターをかけると
- 表の行が絞り込まれる
- 地図の点も絞り込まれる
という変化が起きます。
また、売上データを使って
- 売上が高い店 → 赤
- 売上が低い店 → 青
のように色分けすることもできます。
これをGISではシンボロジ(Symbology)と呼びます。
つまりGISの分析とは地図に絵を描くことではありません。
裏側のデータを操作して結果を地図に表示しているだけなのです。

GIS的思考のポイント
GISの本質は位置情報を持ったデータベースです。

GISを理解するうえで重要なのはツールの操作ではありません。
地図を見たときに
この地図の裏には、どんな表があるのだろう?
と考えられることです。
この視点が身につくと地図はただの絵ではなく、情報の集まりとして見えるようになります。

まとめ
今回はGISの心臓部である「属性テーブル」について解説しました。
ポイントを整理すると次の通りです。

この記事のポイント
- 地図の裏には「属性テーブル」がある
- 属性テーブルの1行は地図上の1つの地物
- 地図と表はIDで結びついている
- 表を操作すると地図も変わる
- GISは空間データベースである
関連動画
この記事の内容は、YouTube動画でも解説しています。
本編
属性テーブルとは何か?地図は「表」とつながっている
補足1
なぜ「1行=1つのモノ」なのか?GISがデータベースである理由
補足2
ID(番号札)がなかったら、GISはどうなる?
補足3
表をいじると、なぜ地図が変わるのか?
次回予告
一つの地図と一つの表の関係は理解できました。
では、
- 人口の地図
- 災害の地図
- 施設の地図
このような複数の地図を重ねると何が起きるのでしょうか?
次回は、GISの核心的な考え方である「オーバーレイ思考(重ね合わせ)」について解説します。
