目次
距離分析の基本と4つの考え方
この記事で分かること
- GISにおける「距離分析」の基本
- 「近い」が1つではない理由
- 4つの距離の使い分け
- バッファ分析の正しい理解
私たちが日常生活を送る中で、場所を選ぶ機会はたくさんあります。
たとえば、「新しく住むマンションを探すとき」や、「今日のランチで行くカフェを探すとき」。
多くの場合、「駅から近い場所がいい」「ここから歩いて行ける距離がいい」と考えますよね。
しかし、この「近い」という言葉は、とても曖昧です。
500メートルのことでしょうか?それとも歩いて10分のことでしょうか?

重要な気づき
GISでは「近い」という言葉は1つではありません。
目的によって、まったく違う“距離”が使われます。
この記事では、GIS初心者の方に向けて、
距離分析の基本と考え方を分かりやすく解説します。
距離分析とは何か
人間同士なら「あの駅から近い」で通じますが、
GISに「近い場所を探して」と言っても伝わりません。
なぜなら、コンピュータは曖昧な言葉を理解できないからです。

距離分析とは
距離を数値やルールとして定義し、
場所同士の関係を明確にする分析手法
距離を定義することで、GISは
「条件に合う場所を探すツール」として機能します。
「近い」は1つじゃない
GISで最も重要なポイントはここです。
距離の4つの考え方
- 直線距離:とにかく最短(ざっくり)
- 道路距離:実際の移動距離(現実的)
- 時間距離:何分かかるか(体感)
- コスト距離:移動のしやすさ(条件付き)

直線距離(ユークリッド距離)
特徴
- 障害物を無視した最短距離
- 地図上で円を描くイメージ
使いどころ
- 商圏のざっくり把握
- 全体傾向の把握

道路距離(ネットワーク距離)
特徴
- 道路に沿った実際の移動距離
- 迂回などを考慮
使いどころ
- 通勤・通学
- 避難経路
- 配送ルート

時間距離(移動時間)
特徴
- 「何分かかるか」で評価
- 渋滞や信号の影響あり
使いどころ
- 出店計画
- 生活圏分析

コスト距離(条件付き距離)
特徴
- 坂道・地形などを考慮
- 移動のしにくさを反映
使いどころ
- 防災
- 物流最適化

バッファ分析とは
距離分析の中で最も基本なのがバッファ分析です。

バッファ分析とは
ある地点から一定距離の範囲を作る処理
例
- コンビニから半径300m
- 川から50m以内
よくある誤解
円を描けば分析完了ではありません
バッファはあくまで「条件」です。
その中に
・何人いるのか
・何があるのか
を重ねて初めて意味が出ます。

直線距離と道路距離の違い
現実の街には、さまざまな障害があります。
- 川
- 線路
- 横断できない道路
そのため、直線距離と実際の距離はズレます。

注意点
- 見た目は近くても遠い場所がある
- 防災では致命的なミスになる可能性
また、道路距離はデータ品質にも依存します。

実務での活用イメージ
出店計画
- 直線距離 → 全体把握
- 時間距離 → 実際の商圏
防災
- 道路距離で避難所を選定
物流
- ネットワークを使った最適ルート
まとめ

重要ポイント
- 距離は「定義」で変わる
- 目的によって使い分ける必要がある

関連動画
この記事の内容は、YouTube動画でも解説しています。
本編
距離分析とは?GISで「近い」を計算する方法
補足1
「近い」は1つじゃない?距離の4つの定義
補足2
バッファ分析とは?GISの距離分析の基本
補足3
直線距離と道路距離の違い
